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対峙
(C)2020 7 ECCLES STREET LLC
DVD \3,900(税抜)2023/9/8発売:トランスフォーマー

対峙/オフィシャルサイト

2021年製作 米  (111 min)

監督:フラン・クランツ
出演者:
リード・バーニー
アン・ダウド  ヘレディタリー 継承  エクソシスト 信じる者  アメリカン・アニマルズ
ジェイソン・アイザックス  善き人  ブラックホーク・ダウン  ピーター・パン  スウィート・ノベンバー

マーサ・プリンプトンミッシェル・N・カーターブリーダ・ウールケージェン・オブライト
あらすじ:アメリカの高校で、生徒による銃乱射事件が勃発。 十数名の生徒が殺され、犯人の少年も校内で自ら命を絶った。 …それから6年。 いまだ息子の死を受け入れられない父ジェイと母ゲイルのペリー夫妻は、セラピストの勧めで加害者の父リチャードと母リンダと会って話をする機会を得る。 教会の奥の小さな個室で、立会人は無し。 ぎこちない挨拶から、4人の対話が始まった…。 ヒューマンドラマ。
ストーリー展開のおもしろさ-2023年 感動-2023年
立場は違えど、同じ日に息子を亡くし、人生が大きく変わってしまった2つの家族。 冷静でいようと何度も自分に言い聞かせてきたはずなのに、いざ顔を合わせてみると、なかなかそうもいきません。 彼らは、何のために会ったのでしょう? 思いがけない展開が待ち受けています。
<スタッフ厳選 超お薦め映画作品!>
★★★★
アメリカでは許可を受ければ銃を購入できるため、映画でもよく一般人が自宅に置いてある銃で強盗に立ち向かうシーンや、親が子に銃の扱い方を教えるシーンが出てくる。銃乱射事件が一番多い国アメリカでは、事件が起こるたびに「銃規制強化」を求めるデモも行われる。銃を持っている人が減れば銃による自殺・事故・犯罪の防止になるという「銃規制強化賛成派」と、銃がなければ犯罪者から身を守れないという「銃規制強化反対派」の折り合いは、簡単には付かないようだ。
 
本作は、銃乱射事件の被害者と加害者の親が、直接会って話し合うという物語。アメリカの高校で生徒による銃乱射事件が勃発し、十数名の生徒が射殺され、犯人の少年も校内で自ら命を絶った。それから6年後、セラピストの仲介により、2組の両親は教会の一室で立会人を交えず4人だけで会う時間を持つことになった。被害者生徒の1人の父ジェイ(ジェイソン・アイザックス)と母ゲイル(マーサ・プリンプトン)と、加害者生徒の父リチャード(リード・バーニー)と母リンダ(アン・ダウド)は、互いに顔は知ってはいたものの初めて言葉を交わし、部屋には緊張した空気が流れる。
 
あらかじめ彼らは、互いを非難したりしない等の事前承諾書を交わしていた。冷静にと何度も自分に言い聞かせてきたはずなのに、いざ顔を合わせてみれば平静ではいられない。面会を希望したのは被害者家族。彼らは「なぜ息子が殺されたのか?」「加害者はどんな少年だったのか?」「なぜ犯行に至ったのか?」等の詳細を尋ねる。加害者は被害者を狙ったのではなく、不特定多数の生徒に銃を向けた。だから「殺される理由」は何もない。直接イジメたような「非」もなく、犯行現場に「偶然」居合わせただけだった。そんな事件前後の詳細も成育歴についても報道され尽くしていたが、加害者の両親の口から直接聞きたいと執拗に食い下がる。そして、初めて聞く事実が明かされていくのだった。
 
犯罪者が成人であっても出自や成育歴が大きく報道され、世間から非難される加害者家族は普通の生活が出来なくなってしまう。少年犯罪の場合は「親の責任」も問われ、親が損害賠償責任を負う場合もある。この加害者の両親も、報道その他で大変な目に遭ったようだ。被害者家族もカメラに追われるのは同じで、あることないこと書かれてきたことだろう。立場は違えど、人生が変わってしまった。同じ日に息子を亡くしたのに、ショックで泣き崩れる被害者家族と違って、加害者家族は悲しみを表に出すことすら許されない。
 
ほぼ教会の一室で終始し、4人の親の表情と内面の変化に釘付けとなる。数々の映画賞でアンサンブル賞を獲得したというだけあって、呼応し響き合う演技はさすが。思いがけない展開の受け止め方は、アメリカと日本ではかなり異なるだろう。銃乱射事件の描写をせず、親の内面に深く迫るヒューマンドラマ。お薦め作品だ。
(象のロケット 映画・ビデオ部 並木)
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