アンダー・ユア・ベッド : 象のロケット≪映画DVD総合ナビゲーター≫

アンダー・ユア・ベッド

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2019年製作日　（98 min）

監督：安里麻里　氷菓　バイロケーション　劇場版零ゼロ
出演者：
高良健吾　おにいちゃんのハナビ　罪と悪公　ボックス！　軽蔑
西川可奈子
安部賢一　夏、至るころ

三河悠冴、三宅亮輔

あらすじ：30歳の男・三井直人は、ふとしたことから、学生時代に自分を「三井くん」と名前で呼んでくれた佐々木千尋のことを思い出す。　現在の彼女の自宅を探し出した彼は、その近所で観賞魚店を開くことに。　自分のことを全く覚えていない千尋の家の合鍵を作ることに成功し、盗聴・盗撮・監視を続ける毎日が始まった…。　ラブ・サスペンス。　R18+　≪もう一度、名前を呼ばれたい≫

原作：大石圭

遠くから見つめるだけで最初は満足だったのに、千尋の境遇を知るにつれ暴走してゆく三井。　どう言い訳しても、変態のストーカーでしかありません。　果たして、彼の気持ちは千尋に届くのか？　もう一度、「三井くん」と呼んでもらえるのか？　狂った純愛の切なさを描きます。

＜スタッフ厳選超お薦め映画作品！＞
★★★★
相手にはその気がないのに執拗に付きまとうと、今は「ストーカー」と言われ犯罪になる。恋とは程度の差こそあれ相手に執着することであるから、「美しい片思い」と「過激なストーカー」のはっきりとした線引きは難しい。警察も介入しにくいだろうが、殺人事件になったりすると「警察は何をしていたんだ」と非難されてしまう。「嫌よ嫌よも好きのうち」や「ツンデレ」のように、実は両想いの場合もあるし、時には「押しの一手」で「高嶺の花」を落とせる場合もあるから、全くもって人の心は推し量りにくい。

本作の主人公・三井直人（高良健吾）は、同級生から「えっ、そんな奴、うちのクラスにいたっけ？」と言われるような、誰からも名前を覚えてもらえない、誰の記憶にも残らない、おとなしく目立たない男。だから11年前、大学で佐々木千尋（西川可奈子）から「三井くん」と名前を呼ばれたことが、ものすごく嬉しかった。喜びのあまり千尋に好意を抱き、それが恋に変わっていったのかもしれない。

現在30歳の三井は、急に千尋のことを探し出す気になり、近所に引っ越しまでしてしまう。それでも「分をわきまえている」彼は、既に人妻で幼い子もいる彼女に手を出そうなんてことは微塵も考えない。望遠鏡で姿を見るだけで満足だったが、千尋が別人のように変わり果てていたため、その原因を知りたいと思うあまり盗聴器を仕掛け、合鍵を作って侵入し、オムツを穿いて夫婦のベッドの下に潜り込むまでに至ってしまった！

三井はどんどん変態ストーカー野郎になっていく。それはそうなのだが、全然笑う気にはなれないし、怖いとも気持ち悪いとも思わない。他国の王子に嫁いだ姫の幸せを願い、陰ながら見守る騎士（または忍者？）のようにも見えてくる。なぜなら、高良健吾が演じているからだ。いつもながら演技の上手さに驚嘆し、彼以外の誰が三井を演じられるだろうかと思ってしまう。実際には存在感ありありのハンサムなのに、人の目を見て話せないような痛々しい影の薄い男になりきっている。

一方、千尋役の西川可奈子も、キラキラしていた女子大生時代と、やつれ果てた人妻の現在を、明確に演じ分けている。暴力夫・浜崎健太郎（安部賢一）が無理やり妻を犯す場面が多く、三井の妄想シーンもある。そんなセクシーな描写は目を惹くが、微妙な心理描写がメインであることは、ちゃんと伝わってくる。

三井と千尋が一緒になるなんて似合わない。万が一にもそうなったら三井は逃げ出してしまうのではないかとか、余計な想像が膨らんでいく。三井の気持ちは千尋に届くのか？　もう一度、「三井くん」と名前を呼んでもらえるのか…？　何かが起こらないはずはない。狂った純愛の切なさを描くサスペンス・スリラー。お薦め作品だ。

ストーカー行為は犯罪です。初恋の人を見つけても盗聴などしてはいけません。笑って懐かしく思い出話ができるくらいになってから、再会しましょう…。

（象のロケット映画・ビデオ部　並木）

＜作品評価システム＞と＜高度マッチングシステム＞

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