沈黙の艦隊北極海大海戦 : 象のロケット≪映画DVD総合ナビゲーター≫

沈黙の艦隊北極海大海戦

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9月26日より全国公開中

(C)かわぐちかいじ／講談社(c)2025 Amazon Content Services LLC OR ITS AFFILIATES.
配給：東宝

2025年製作日　（132 min）

監督：吉野耕平　ハケンアニメ！　沈黙の艦隊　水曜日が消えた
出演者：
大沢たかお　世界の中心で、愛をさけぶ　 7月24日通りのクリスマス　解夏　藁の楯わらのたて
上戸彩　あずみ2　Death or Love 　あずみ　武士の献立　半沢直樹
津田健次郎　TELL ME hideと見た景色　映画マイホームヒーロー　キャンドルスティック　女神降臨 After プロポーズ編

中村蒼、松岡広大、前原滉、渡邊圭祐

あらすじ：アメリカ第7艦隊を東京湾海戦で圧倒し、ニューヨークへ針路をとった原子力潜水艦〈やまと〉。　アメリカ合衆国大統領ベネットは「核テロリストを撃沈せよ」と、〈やまと〉の性能をはるかに上回る最新鋭原潜を送り込んだ。　日本では衆議院の解散総選挙が迫り、〈やまと〉支持を表明する竹上首相は、残るも沈むも〈やまと〉と運命を共にすることとなる…。　軍事アクション第2弾。　≪撃沈するのは、この艦か、未来か。≫

原作：かわぐちかいじ　脚本：髙井光
主題歌：Ado『風と私の物語』

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原作はかわぐちかいじのコミックで、全32巻（連載期間：1988～1996年）という長編ですが、描かれているのはほんの数か月の出来事です。　2023年公開の実写版映画『沈黙の艦隊』を含み、2025年公開の本作『沈黙の艦隊北極海大海戦』が始まる前までの物語が、Amazon Originalドラマ『沈黙の艦隊シーズン1 ～東京湾大海戦～』としてデジタル配信されています。

≪沈黙の艦隊≫シリーズ
『沈黙の艦隊(2023年製作)』
『沈黙の艦隊北極海大海戦』

＜スタッフ厳選超お薦め映画作品！＞
★★★★★

…［前作から今作に続くストーリー］…　日本近海で、海上自衛隊の潜水艦＜やまなみ＞が、アメリカの原子力潜水艦に衝突し沈没。艦長の海上自衛隊二等海佐・海江田四郎（大沢たかお）以下、全乗員76名の生存は絶望的と報道される。
その頃、日米が極秘に共同で建造した高性能原子力潜水艦＜シーバット＞が完成していた。軍隊を持たず、「核兵器を“持たず、作らず、持ち込まず”」の非核三原則を表明している被爆国・日本は原潜を持てないので、＜シーバット＞はアメリカ海軍第7艦隊所属となった。
さらに、自衛隊員の身分では原潜に乗れないため、苦肉の策として沈没事故を偽装し、全乗員が表向きは殉職し、極秘裏に＜シーバット＞の乗組員となった。艦長は海江田。そこまでは、国民を欺きながらも、日米政府が作った水面下のシナリオ通りだった。
ところが、初めての試験航海中に、海江田以下、全乗員が＜シーバット＞と共に逃亡。海江田は、潜水艦＜シーバット＞そのものが、海江田を元首とする「独立国家やまと」だと宣言。
アメリカ合衆国大統領ニコラス・ベネット（リック・アムスバリー）は、海江田をテロリストと断定し、アメリカの威信を賭けてシーバットを沈めようとするが、米軍の名だたる潜水艦は、ことごとくシーバットに撃破されてしまう…。

…［さて、ここからが今作］…　アメリカ第7艦隊を東京湾海戦で圧倒した＜シーバット＞＝＜やまと＞は、ニューヨークへ向かっている。アメリカとロシアの国境線であるベーリング海峡に、＜やまと＞の性能をはるかに上回る最新鋭原潜が現れ、行く手を阻む。
一方、日本では衆議院の解散総選挙が迫り、与党・日本民自党は大揺れ。＜やまと＞支持を表明する内閣総理大臣・竹上登志雄（笹野高史）は、内閣官房長官・海原渉（江口洋介）と共に新党「新民自党」を結成し、国民のやまとへの支持が問われることになった。フットワークの軽い新党「鏡水会」代表・大滝淳（津田健次郎）の登場も面白い。
第二次世界大戦敗戦後の日本は、憲法9条により交戦権を持たず、自衛隊の戦いは「専守防衛」に限定された。日米安全保障条約を結び、アメリカの軍事力に依存する代わりに、莫大な資金を拠出していると言われている。
保守の与党・日本民自党内は、真の日本独立を目指す者、長い物には巻かれろ派、日和見主義者など、様々な立場の者がいるようだ。
映画の中の日本の政治状況と、諸外国に押され気味で保守と革新の線引きが曖昧になり多党化している現在の日本が、怖いくらい似ている。

海江田の最終目的は、世界を一つの国にして、戦争のない世の中を作ること。今は専守防衛に徹してはいるが、攻撃を受ければ応戦し、敵を殺すことも厭わない。核の抑止力を利用するために最高クラスの原潜を得たのだ。
平和な世を作るために戦うというのは、古代より繰り返されてきた戦争の大義。山中栄治（中村蒼）ら優秀な元海上自衛官たちが、カリスマ艦長・海江田の指示通りに動く。
氷だらけの北極海。潜水艦同士の海戦バトルでは、魚雷戦だけでなく驚くようなシーンもある。ダイナミックな映像と音声には臨場感があり、海の美しさにも見入ってしまう。

原作執筆当時と現代では、キャリア女性の数や活躍度が違うため、女性記者・市谷裕美（上戸彩）、幹事長、大臣、政治家秘書等、自衛隊員等、映画版オリジナルや、性別を変えた女性キャラクターがシリーズ各所に登場する。
それでも、潜水艦＜やまと＞内に女性はおらず、「独立国家やまと」の全国民は男性で戦闘要員。各人の年齢、出自、家族構成はほとんど不明。本音も語られない。恋愛話や家族の心配話もない。生きるか死ぬかの戦闘と政治の緊迫した物語に、そんな話は不要だし、サッパリしていて、すごくいい！
世界の海図、軍事データ、国際情勢が全て頭に入っていて、トップクラスの操艦能力があり、どんな時も冷静に的確に、時には大胆不敵な指示を出す戦略家・海江田は、天才政治家。これまでの海江田の海上自衛隊内での評価と、他の部隊の自衛官たちとの信頼関係が、「やまと」建国後も生きている。自衛隊員が平和を望むのは当然だろう。
海江田の理想と信念は、日本国民の意識を変えられるのか？　世界の首脳や一般外国人にも、彼が掲げた大義は受け入れられるのか？　各地で戦争・紛争が絶えない今、まさにタイムリーなポリティカル・アクション。お薦め作品だ。

（象のロケット映画・ビデオ部　並木）

＜作品評価システム＞と＜高度マッチングシステム＞

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