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ブルックリンでオペラを

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原題：SHE CAME TO ME

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4月5日より全国公開中

2023年製作米　（102 min）

監督：レベッカ・ミラー　マギーズ・プラン幸せのあとしまつ　 50歳の恋愛白書
出演者：
アン・ハサウェイ　プリティ・プリンセス　パッセンジャーズ　インターステラー　ダークナイトライジング
ピーター・ディンクレイジ　シラノ　パーフェクト・ケア　ハンガー・ゲーム 0 近　スリー・ビルボード
マリサ・トメイ　オンリー・ユー　レスラー　ミルドレッド　 N.Y.式ハッピー・セラピー

ヨアンナ・クーリク、ブライアン・ダーシー・ジェームズ、エヴァン・エリソン、ハーロウ・ジェーン

あらすじ：ニューヨーク、ブルックリン。　精神科医の女性パトリシアは掃除が大好きな潔癖症。　元患者でもある夫スティーブンは現代オペラの作曲家だが、最大のスランプに陥っていた。　ある日、気乗りしないまま愛犬との散歩に送り出されたスティーブンは、バーで女性船長カトリーナと出会い彼女の船に乗り込む。　それが、夫婦の想定外の未来の始まりだった…。　ロマンティック・コメディ。

脚本：レベッカ・ミラー

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対照的な2人の女性に挟まれて困り果てた瞬間に、メロディが溢れ出てきた！　まさかオペラのミューズは、完璧な妻ではなく、武骨な船長なのか？　犬の散歩をきっかけに幾人もの人生が変わっていきます。　過去や現状に縛られず、わが人生の目的と未来を見つめよう！　劇中劇のオペラにも注目。　ユニークな愛の物語です。

＜スタッフ厳選超お薦め映画作品！＞
★★★★
本作の主要キャストは誰も歌わないが、新作オペラのシーンが2つ挿入されている。1つ目のオペラは特に興味深く、是非とも完成版を観たくなった。作曲者はアメリカのインディー・ロックバンド「ザ・ナショナル（活動1999～）」のギタリストでクラシックの作曲家でもあるブライス・デスナー（1976～）。そして、主題歌はロックの重鎮ブルース・スプリングスティーン（1949～）の『Addicted to Romance』。

著名な現代オペラの作曲家スティーブン（ピーター・ディンクレイジ）は5年前から大スランプで鬱状態。妻はその治療中に出会った精神科医パトリシア（アン・ハサウェイ）。現在はニューヨーク・ブルックリンのパトリシアの診察室を兼ねた持ち家に、彼女の息子ジュリアン（エヴァン・エリソン）と3人で暮らしている。夜のコミュニケーションは曜日でキッチリ決められているものの、夫婦仲は円満。

パトリシアは生真面目で信仰心篤く、ボランティア活動にも熱心だがいつも上の空。家は完璧に片付いているのに、何なら家ごと全部処分したいと思うほどの潔癖症。ひょっとして夫より妻の方が病気なのではと心配になってくる。「一番に断捨離したい粗大ごみはダンナよね」という笑い話があるが、彼女もそうでないと良いのだが…。

スティーブンは素敵な家族が出来て幸せなはずなのに、何一つメロディが浮かんでこない。妻の勧めで嫌々ながら犬の散歩に出かけ、立ち寄ったバーで昼飲み。そこで、曳船の“船長”という珍しい職業の女性カトリーナ（マリサ・トメイ）と出会う。スティーブンを強引に自分の船に誘ったカトリーナは、恋愛依存症なのだと驚きの告白をして迫ってくる！　大らかで率直で大雑把な彼女も、かなり精神的な危うさを抱えている。つまり大人3人は皆、かなり行き詰まっていた。

一方、パトリシアの息子で優秀な18歳のジュリアンは、同じ高校に通う16歳の秀才テレザ（ハーロウ・ジェーン）と恋仲。家政婦をしている彼女の母親マグダレナ（ヨアンナ・クリーク）は、セレブなジュリアンの両親との差を気にすると同時に、娘の成績低下と妊娠を心配する。また、高卒でも裁判所の速記の仕事に誇りを持ち法律にも詳しい継父トレイ（ブライアン・ダーシー・ジェームズ）は、ジュリアンの肌の色（パトリシアの前夫はおそらく黒人）が気に入らず、未成年の娘との性交渉は違法だから訴えるとまで言い出す。

パトリシアとスティーブンの夫婦、高校生のジュリアンとテレザ、マグダレナとトレイの夫婦、そして、出会ったばかりのカトリーナとスティーブン、それぞれの恋愛模様や感情の描写がアッサリなので想像するしかないが、好き嫌いは理屈ではないし、本作がオペラだと思えば（実際は違うが）気にならない。オペラでは出会った瞬間に恋に落ちたり、瀕死の状態で高らかに歌ったり、突然心変わりしても、違和感なく見ていられるのだから。

若い2人は正直で、親や世間の常識にとらわれない。大人たちが苦しいのは、理性で感情を抑えているから。違う人生や別の道を見つけても、築き上げたキャリアや家族のことを考えると、全てを捨てて新しい世界に飛び込む勇気はない。トシだ、遅い、出来ない、許されないと諦めてしまいがちだが、それは行動しない言い訳かもしれない。まずは…散歩だろうか？　脚本、演技、音楽、どれも素晴らしく、クスクス笑いが止まらない。音楽と人生のピピっとひらめく瞬間が描かれ、シュールなハッピーエンドを迎えるロマンティック・コメディ。お薦め作品だ。

（象のロケット映画・ビデオ部　並木）

＜作品評価システム＞と＜高度マッチングシステム＞

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