ヘルタースケルター : 象のロケット≪映画DVD総合ナビゲーター≫

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2012年製作日　（127 min）

監督：蜷川実花　さくらん　ホリック xxxHOLiC 　人間失格太宰治と3人の女たち　Ｄｉｎｅｒ　ダイナー
出演者：
沢尻エリカ　問題のない私たち　クローズド・ノート　パッチギ！　天使の卵
大森南朋　かくかくしかじか公　ハゲタカ　TV版　映画ハゲタカ　笑う警官
寺島しのぶ　国宝公　キャタピラー　やわらかい生活　下町ロケット

桃井かおり、綾野剛、水原希子、新井浩文

あらすじ：「骨と目ん玉と髪と耳とアソコ」以外は全部つくりもの。　全身整形で完璧な美しさを手に入れたりりこは芸能界のトップスターとなり、大企業の御曹司・南部との交際も順調で結婚も間近のはずだった。　しかし、整形手術の後遺症が次第にりりこの身体を蝕み始める。　一方、美容クリニックの隠された犯罪を追う検察官・麻田は、りりこの整形の秘密に気づいていた…。　サスペンス。　R-15。

原作：岡崎京子　テーマ・ソング：浜崎あゆみ『evolution』

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魂を売り渡すほどの犠牲を払って完璧な美しさを手に入れたはずなのに、それが永遠には続かないことに気づいて愕然とするりりこ。　華やかに彩られたスクリーンが泣いているように哀しく感じられる、究極の美のホラー。　りりこの美しさは悪魔的です。

＜スタッフ厳選超お薦め映画作品！＞
★★★★
何かと話題の女優・沢尻エリカは若く、美しい。見た目が重視され、浮き沈みの激しい芸能界の現状とも重なるストーリーは、演じ甲斐があったことだろう。脱ぐべき場面ではちゃんと脱いでいるのも好感が持てるし、その身体も輝くほど美しい。エキセントリックな主人公りりこになり切った体当たり演技に拍手を送りたい。

りりこ（沢尻エリカ）は、類まれなる美しさで芸能界のトップに上り詰めた。だが、その美貌とスタイルは最先端の美容整形技術を駆使して作り上げられた完全な作り物。彼女の心の奥底には絶えず不安が渦巻いている。自分が美しくなくなったら、仕事もなくなり、取り巻き連中もファンも離れていくのではないか、誰も愛してくれなくなるのではないかと。

　
街で古代エジプト人並みのアイメイクに命を賭けている若い女の子を見ると、微笑ましいと同時に痛々しく思う。彼女たちは一体どれだけの不安を抱えて生きているのか？　化粧して、流行の服、バッグ、靴、アクセサリーを身に付ければ、更にエステやダイエット、プチ整形をすれば、コンプレックスや不安は解消され、自信がついて積極的になり、幸せになれるのだろうか？

有難いことに私は、美貌も若さも関係ない、こんな地味な仕事に就いている。エステや日焼けサロンへ行く暇があったら、鍼や整体へ行きたい。そんな私は将来、ほどよく枯れた味のある老人顔になりたいのだが、こればかりは整形では無理だろう。

さて、魂を売り渡すほどの犠牲を払って完璧な美しさを手に入れたはずなのに、それが永遠には続かないことに気づいて愕然としたりりこは、これで終わってたまるかと、今度は別の方法で悪魔に魂を売り渡す。決して後戻りはできないのである。

美容外科医（原田美枝子）と芸能事務所社長（桃井かおり）。この二人の魔女がりりこという商品を作り上げた。そして魔女の手先がメイクアップアーティスト（新井浩文）。気の毒なのが、りりこのマネージャー（寺島しのぶ）とその恋人（綾野剛）。観客の気持ちを代弁しているのが、恋人（窪塚洋介）と検察官（大森南朋）だろうか。誰もがりりこに惹かれながら、実のところは愛していない。

人工着色のキャンディをばらまいたように派手なスクリーンが、泣いているように感じられる。誰もがどんなに手を尽くしても、若さも美貌も人気も愛も、永遠のものにすることはできないという皮肉。それは突き刺さるほどに、吐くほどに、えぐられるほどに辛い。本作は美容整形の是非ではなく、安易に外見で判断してしまう社会と、美貌や若さに執着する女の悲しい本音を描いている。そういうことは、女性である蜷川監督や共演のベテラン女優たちも経験済みであろう。

世の優しい男性の方々、可愛い虚飾には騙されたフリをしてあげよう。そして恋人には「どんな君でも僕にとっては最高だ。」と繰り返し言い聞かせるのだ。彼女を安心させるために。本作は外見に振り回されてヘルタースケルター（しっちゃかめっちゃか）になってしまう究極の美のホラー。お薦め作品だ。

（象のロケット映画・ビデオ部　並木）

＜作品評価システム＞と＜高度マッチングシステム＞

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