春画先生 : 象のロケット≪映画DVD総合ナビゲーター≫

春画先生

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2023年製作日　（114 min）

監督：塩田明彦　この胸いっぱいの愛を　黄泉がえり　どろろ　風に濡れた女
出演者：
内野聖陽　黒い家　あかね空　アングリースクワッド公務員と7人の詐欺師近　悪夢のエレベーター
北香那　あの人が消えた　なんのちゃんの第二次世界大戦
柄本佑　素敵なダイナマイトスキャンダル　痛くない死に方　先生、私の隣に座っていただけませんか？　火口のふたり

白川和子、安達祐実

あらすじ：“春画先生”こと芳賀一郎は、妻に先立たれ世捨て人のように春画研究に没頭していた。　芳賀から春画鑑賞を学ぶことになった春野弓子は、春画の奥深い魅力に心を奪われ、芳賀にも恋心を抱くようになる。　芳賀が執筆する「春画大全」担当の編集者・辻村俊介や、芳賀の亡き妻の姉・藤村一葉の登場によって、弓子は“覚醒”してゆくのだった…。　偏愛コメディ。　≪この世界に、一目ぼれ。≫　R-15

脚本・原作：塩田明彦

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春画に魅せられた、しっかり者の弟子・弓子、変わり者の師匠・芳賀、いい加減な編集者・辻村、謎めいた女・一葉の4人の関係は予測不能。　何も隠さぬ春画の世界を、好きなことにのめり込む幸せを、垣根を超えた性愛の世界を、大らかに笑って楽しみましょう！

【春画とは】
人間の性的な交わりを肉筆や木版画で描いた画。　“笑い絵”とも呼ばれ、平安時代からはじまり江戸時代に全盛期を迎えたが、幕府から禁止された禁制品だった。　表に出ないものだったからこそ自由な創作が可能となり、庶民から大名までをも虜にした。　鈴木春信、鳥居清長、喜多川歌麿、葛飾北斎、歌川国貞など、著名な浮世絵師のほとんどが春画を手がけており、超一流から無名まで多くの絵師、彫師、摺師たちが、表の浮世絵で発揮できない、その持てる全画力と全精力、技巧を注いでとことん真面目に人の性を“笑い” や“風刺”として表現した作品が数多く現存している。　しかし、本物が展示される機会は少なく、2015～16年に東京と京都で開催された「春画展」以降、大規模な展覧会は開催されていない。　日本映画でも春画の性器部分の描写は映倫審査でボカし加工が必要だったが、本作は映倫審査で区分【R15＋】として指定を受け、商業映画として全国公開される作品としては、日本映画史上初、無修正での浮世絵春画描写が実現した。　≪資料提供：ハピネットファントム・スタジオ≫

＜スタッフ厳選超お薦め映画作品！＞
★★★★★

ダビデ像やミロのヴィーナス像に象徴されるように、裸体は美の極致。絵画、彫刻、写真、映像など手段は様々だが、芸術家は裸体の表現にこだわってきた。裸体から一歩進んで、性的な交わりを表現した「芸術」である「春画」「写真」「映画」等は、しばしば「エロ」と混同され、「裸は見てはならないイケナイもの」「セックスの表現など言語道断」とされてきた。著名な浮世絵師が手がけた春画さえ江戸時代には「禁制品」で、近代においても美術館で大っぴらには展示できなかった。裸体に見とれるのも、セックスに心惹かれるのも動物的本能だろうに、それを公にすると罪になってしまう時代が続いてきたのである。

さて、本作の主人公は“春画先生”と呼ばれている有名な春画研究者・芳賀一郎（内野聖陽）。在野に埋もれている春画の発掘と研究に明け暮れている彼は、その筋では尊敬され人気者だが、いまだに亡き妻（安達祐実）一筋のいわゆる女体断ち状態。彼は堅物で、「春画」は単なる研究対象に過ぎないのか…？

喫茶店のウエイトレス春野弓子（北加那）は、客である芳賀が広げていた春画に目を奪われる。芳賀はそんな弓子に目を留め、興味があるならと弓子を家政婦兼生徒として招き入れた。レトロな芳賀の自宅で、弓子は年老いた家政婦（白川和子）に鍛えられ、着物で雑巾がけという昭和の書生のような毎日を送ることに。裸の男女が絡み合う春画を教材に大真面目に議論し合う2人は、単なる師匠と弟子の関係のままなのか…？

芳賀と弓子のアカデミックな日常をかき乱す人物その1は、芳賀に「春画大全」の執筆を急かす編集者・辻村俊介（柄本佑）。春画に精通し芳賀との付き合いも長い彼は、弓子に芳賀の過去や、その他「いろんな」ことを教示し「開眼」させてくれる第2の師匠。何事にも執着しない「両刀遣い」で、物語を回してくれる一番ユニークな人物だ。

芳賀と弓子の日常をかき乱す人物その2は、芳賀の亡妻そっくりの女・藤村一葉（安達祐実2役）。芳賀とは過去に因縁があったようで、芳賀に恋心を抱き始めた弓子は恋敵の登場かと警戒する。終始上から目線のラスボス一葉の一撃で、弓子の脳内春画指数は更にランクアップ！　そしてそれは、芳賀へも伝染してゆく。

しっかり者の弟子・弓子、変わり者の師匠・芳賀、いい加減な編集者・辻村、謎めいた女・一葉、この春画愛好者4人の関係は予測不能！　何も隠さぬ春画の世界、好きなことにのめり込む幸せ、垣根を超えた性愛の世界が描かれ、何だか微笑ましい。

明るく楽しい展開ゆえか、それとも頑張った交渉の成果なのか、無修正の春画が数多く登場し、なかなかの性愛描写があるにもかかわらず「R-15＋」指定。春画にご興味のある方は、まずは劇場の大画面で浮世絵春画を鑑賞し、芳賀の解説で気になった絵の詳細は後日DVDでじっくり確認して頂きたい。「笑い絵」春画の奥深い世界に魅せられた者たちの表と裏を、大らかに描く偏愛コメディ。お薦め作品だ。

（象のロケット映画・ビデオ部　並木）

＜作品評価システム＞と＜高度マッチングシステム＞

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