誰がため:作品を観た感想(15)

誰がため
最初から重苦しく、異様な緊張感が漂います。それはまったく途切れることなく最後までずっ続きます。レジスタンス活動の一環とはいえ、標的に近づいては銃を撃ち立ち去る姿は、戦と争映画というよりはまるでマフィア映画を観ているようでした。見どころは、車の中で寝るマッツ。妻子から見放されるマッツ。妻の男に脅しをかけるマッツ。蜂の巣にされるマッツ。
いやいやえん
2015年9月17日

映画『誰がため』を観て
戦争に正義などない。デンマークで長い間タブーだった実話に基づき、オーレ・クリスチャン・マセン監督が第2次世界大戦下の自国を描いた本作がそのことをはっきりと教えてくれる。デンマークがナチスに蹂躙されていた時代の歴史というには私は詳しくないし、そうして映画を観たのも今回が初めてだった。一体、まだ若く家族や恋人もいた二人がどのような思いで亡くなったのかを考えると、この映画に娯楽性を求めては行けない。[007カジノ・ロワイヤル]でも有名なマッツ・ミケルセンのシトロン役はハマっていた。こういう味はアメリカ人俳優には出せないですね。
KINTYRE’SDIARY
2011年1月3日

誰がため
★★★ 何が正義なのか…。レジスタンスのフラメンとシトロンがとても印象的な二人でした。ひとりは、ある女性に惚れてしまって騙されてしまう…。あるひとりは、活動に熱心だったため次第に妻と娘は離れていってしまいます。今まで人を殺せなかった男がやがて殺人を犯していく、、。気軽に観てしまったのがいけなかった、、。ナチスとデンマーク、実話なんだそうですが、本当の悪は誰?とはっきりしない展開ではとても興味深い内容でした。しかし、まったく背景を知らないので分かりにくいのです。予備知識があったらもっと楽しめたのかもしれません。
映画鑑賞☆日記・・・
2010年6月28日

『誰がため』 (2009)
この作品は、丹念に事実を描いていくのだけれど、その過程で浮かび上がってくる、戦争と歴史の矛盾に巻き込まれた人間の悲しさが余りに客観的過ぎて、胸に迫った来ないもどかしさに行き着いてしまう弱々しさを感じる。事実を踏まえた上で、より作劇的であっても良かったんじゃないかと思う。映画と言うエンターテイメントを逆に利用して、歴史を(世界中の)観客に知らしめるのも、一つの手段として、充分役割は担えるような気がするのだけれど。
よーじっくのここちいい空間
2010年3月17日

誰がため この悲劇は現代の日本にも起きている
大きなポイントは第二次大戦中のデンマークの状況である。ナチス・ドイツに占領されながらも政府はそのまま存続するという保護占領というあいまいな状況がレジスタンスの熱気と活動を阻害したことは否めない。そのことは本来は徹底した悪役として描かれるはずのゲシュタポのホフマン大佐の描き方にも顕れている。保護占領の受け入れはデンマークにとって生き延びる為のひとつの選択であったが、だからといって、その選択を強制したナチス・ドイツが肯定されるわけではない。これは現在の日本の国家権力と地方との関係に当てはまるではないか。
映画と出会う・世界が変わる
2010年2月19日

誰がため  戦争は人を壊す
ナチス占領下のデンマークのレジスタンスの物語であるが、主人公たちの敵はナチスだけではない。二重スパイがいたり、本来は味方であるはずの人間が実はナチスに通じているのではないかとの疑心暗鬼があり、そういう中で敵を倒すという殺人行為は当然の状況。そのような中で人間は壊れていく。反ナチの熱いレジスタンスの物語ではなく寒々しい情景が描かれる。戦争というものは人を壊していくものだという主張がストレートに伝わる。
映画と出会う・世界が変わる
2010年2月14日

誰がため
自分の行く道を悩みながらも前へ進もうとした二人の生き様が哀しかったです。トゥーレ・リントハートとマッツ・ミケルセンの熱演に引き込まれました。引き返せない道を行くことになってしまった主人公たち。そんな彼らの葛藤と焦りを陰のある表情と瞳で演じていました。彼らの演技があったからこそ見応えのある作品になったのかなと。ただ、スコッと時間が飛ぶ時があるのです。彼らは本国ではとても有名な人物なので、周知の事実は飛ばされているのかもです。全く知らなかったデンマークの過去と、英雄となった彼らの姿をこの作品で知ることができて良かった。
とりあえず、コメントです
2010年2月13日

『誰がため』(2008)/デンマーク・チェコ・ドイツ
★★★ 見ていて思ったのは、フラメンとシトロンの一途さ、そして未熟さでした。若さゆえ経験が足りなかったこと、それがまさに致命傷。戦時中は化かし合いなんだから、正義を装って利用するなんてことは当たり前だと思わないといけないけど、それを見抜く経験が彼らには不足していた。それは純粋の裏返しでもあるのだけど。化かすと言えば、ケティがまさにそう。そしてボーディルも。この2人の女性たちの変化も、フラメンとシトロンに大きな影響をもたらしている。戦時中ならではの切なさ、酷さがたくさんあり、観ている方がちょっと辛いかも。
NiceOne!!
2010年2月4日

誰がため
★★★★ 従来見たことがないデンマーク映画ながら、ナチスの占領下におかれたデンマークにおけるレジスタンス運動の様子を垣間見させてくれます。最後まで緊張感の漲った実に素晴らしい作品でした。ただ、主人公らは、ナチス協力者の暗殺を連続的に行うところ、時と所を離れてみると、暗殺の手法が適切だったのか疑問なしとしないところです。政治的な側面に加えて、主人公のフラメンとケティという年上の魅力的な女性との恋愛関係をも絡ませ、話をより重厚なものとしています。
映画的・絵画的・音楽的
2010年1月30日

「誰がため」
★★★★ 連合国側が作って来た対ドイツ戦争映画の多くが、ドイツ軍側を単純に残虐で狡猾で、滅ぼされるべき悪玉として描いて来たのに対して、ここでは、ドイツ軍人も、レジスタンス側も、どちらも国家の為に戦っている人間として描いている。むしろ組織のリーダーであるヴィンターが、裏では打算をはじき、狡猾に立ち回っている。純粋に国家を信じ、テロに命を賭けて戦って来た二人は、打算と裏切りの狭間で無残に死んで行く。戦争とは何か、人は誰のために戦うのか、守るべき正義は存在するのか…さまざまな問題を現代に生きる我々に問いかける、重いテーマを持った秀作。
お楽しみはココからだ
2010年1月15日

誰がため
戦争時は、こういう2人が大いに暴れてナチスを翻弄することを組織も喜ぶし、その裏にいるイギリスも喜ぶが、戦争も末期になってくると、誰でも彼でも暗殺すればいいってもんじゃなくなってくる。それこそ戦後のパワーバランスを見据えて身の振り方を考えなければいけなくなるんだが、この2人にはそれができなかった。純粋に破壊行為が祖国解放と信じ切っていたのが哀れである。その点、うまいこと身の振り方を考えていた組織の上層部のヴィンターや2重スパイのケティは、彼らよりも一枚も二枚も上手だった。[誰がため]という邦題は、映画の内容にうまく合ってると思う。
だらだら無気力ブログ
2010年1月15日

『誰がため』
フラメンとシトロンは軍人でもなければ、大きな政変を起こした革命家でもなく、ただ売国奴暗殺という内地の最前線で自らの手を汚していた2人。そして守るべき女性に売られ、守るべき家族を失ってしまった2人。戦争によって人生の全てを狂わされた2人の言葉に表せれない苦悩を見ていると本当に悲しくなるんです。戦争がただ虚しく見えるのです。悲しくもフラメンとシトロンの苦悩と信念を一番理解してくれたのが、ゲシュタポのリーダーであるホフマンということも、戦争がもたらした悲しみ。「正しい戦争」など存在しないことを痛感した映画でした。
めでぃあみっくす
2010年1月10日

「誰がため」
妻子がありながら暗殺者となったシトロン。愛する妻と幼い娘に去られたシトロンを襲う寂しさと哀しみ。マッツ感情表現上手い! ラスト近くホフマン率いるゲシュタポの兵士たちに襲撃される。執拗なる襲撃にパジャマ姿で応戦するシトロンの姿が哀れに映る。二重スパイだったケティを、疑いながらも信じ続けたフラメンも気の毒だが、終始疑われながらも愛するフラメンを最後まで騙したケティも哀れである。デンマーク、コペンハーゲンは勿論、チェコ・リパブリックのプラハやドイツ、ベルリンでのロケーションや、1940年代の街の再現も素晴らしい。
ヨーロッパ映画を観よう!
2010年1月4日

*誰がため*
この映画はデンマークでもレジスタンス活動があったことを世界中に教えてくれると共に、お金の動きに合わせて信念も変える狡猾な上層部と一途な若者の対比も明らかにしてくれました。日和見主義的にやり過ごし生きること、信念を貫いて戦い抜くこと、どちらが幸せか…。それはわからないという中立の立場で締めくくられていて、静かな感動を与えてくれました。銃撃戦のシーンはコワイけれど、彼らの苦悩も深く描かれていて本当に見ごたえあります。
Cartouche
2009年12月26日

誰がため
★★★ フラメンとシトロンはナチス占領下にあって、ナチス側に付いた売国奴を暗殺するという作戦を展開しています。リーダーのヴィンターが私利私欲のために、自分に都合の悪い人間を殺させていると聞いたフラメンたちは、己の信じてきた「正義」に確信が持てなくなる。2人とも純粋に国を想うが故に混乱振りは激しく、必死にアイデンティティを保とうとする様子には一兵士の悲哀が見て取れます。第二次世界大戦という大きな戦争の流れの中で、個人の側からの戦争を、事実に基づいて描いた本作からは生々しい感情がダイレクトに伝わって来るのでした。
LOVE Cinemas 調布
2009年12月26日


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