死にゆく妻との旅路:作品を観た感想(3)

mini review 12549「死にゆく妻との旅路」
★★★★ 映画化するには、あまりに暗い題材である。本当を言えば、見て見ぬふりをして、やりすごしたいようなお話である。 映画は娯楽作品である、という考え方に僕も異論はない。けれども、『死にゆく妻との旅路』のような、気が滅入るばかりの、娯楽作品とは対極にあるような、半ばドキュメンタリー風の生真面目な作品を、あえてこの浮薄な世の中に送り出した、スタッフやキャストに心から拍手を贈りたいと思う。
サーカスな日々
2012年1月7日

死にゆく妻との旅路
★★★ 私は闇雲な延命治療を良しとするものではありませんが、愛する人の苦しむ姿を観ていることには耐えられないです。その時彼女に対して出来る最高のことをしてあげたいと考えたのはもちろん久典も同じだったのでしょうけども、その中に彼女の苦しみを取り除いてあげるという選択肢がなかったのが残念でなりません。久典は警察に逮捕されますが、それに関しては何の感慨も抱きません。法の手続きと個人の感情の話は分けて考えるべきでしょうから。物語の構成的な部分と主人公への感情という点で、この作品を無条件に賞賛する気持ちになれない。
LOVE Cinemas 調布
2011年3月4日

死にゆく妻との旅路
★★★ 久典は特に何も言わないが、言わずとも自分たちのしていることを自覚していたろう。自覚してはいるが、自暴自棄にも成り切れず、後戻りもできず、ただただ成り行きに任せるしかなかったのだろう。2人は恐らく心中を旅の途上でずっと意識していたのだろう。というより、緩慢な心中を中途半端に試みているようにも見える。優柔不断な久典を刑事のように「非常識」と指弾することもできるが、人生での進退窮まる状況というのは当事者しか理解できないものだろう。久典は旅しながらもずっと立ち往生していたのだ。
佐藤秀の徒然幻視録
2011年3月3日

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