火の鳥エデンの花 : 象のロケット≪映画DVD総合ナビゲーター≫

火の鳥エデンの花

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(C)Beyond C.
配給：ハピネットファントム・スタジオ

2023年製作日　（95 min）

監督：西見祥示郎
出演者：
（声）宮沢りえ、窪塚洋介、吉田帆乃華、イッセー尾形、他

あらすじ：地球から未開の惑星エデンへ逃亡してきた女ロミと恋人の男ジョージ。　ところがジョージは命を落とし、エデンにはロミと幼い息子カイン、そしてAIロボットだけになってしまう。　ロミは寿命を引き延ばすためコールドスリープに入るが、機械の故障により、目覚めたのは1300年後だった…。　アニメーション。　≪あなたは、生きなさい。≫

原作：手塚治虫『火の鳥』（望郷編）
音楽：村松崇継
エンディングテーマ曲：リベラ『永遠の絆』

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アダムとイブの時代から今に至るまで、人類は愚かな間違いを繰り返しながら、何度も立ち上がってきました。　宇宙を駆け抜け永遠の未来へ命を繋ぐ、壮大なSF冒険ファンタジーです。

＜スタッフ厳選超お薦め映画作品！＞
★★★★★

聖書を読んだことがなくても、旧約聖書の創世記に登場するアダムとイブはご存知の方が多いだろう。神は自分と似た姿で最初の人間アダム（男）を作り、次にイブ（女）を作った。二人はエデンの園で天真爛漫に暮らしていたが、神から食することを禁じられていた「善悪の知識の実」（禁断の木の実）を、蛇（悪魔）にそそのかされたイブが食べ、アダムもイブに勧められて食べたところ、彼らは急に裸が恥ずかしくなってしまった。そして神に問われても非を認めなかったためエデンの園を追放されてしまう（楽園追放・失楽園）。人類が最初に犯したその罪は「原罪」と言われ、全人類がその罪を今なお背負っているとも言われる。それでもアダムとイブは人類の始祖で、カインとアベル他たくさんの子を作り長生きしたという（あくまでも創世記の話）。

さて、本作の原作は手塚治虫の漫画「火の鳥」中の、地球と宇宙の未来を描いた「望郷編」。「エデンの花」というタイトルからも分かるように、上記の聖書創世記がすぐに思い浮かぶが、もちろん独自のストーリー展開だ。地球からロケットに乗り逃亡してきた1組の男女が、荒涼とした惑星エデンに降り立つ。ここを新天地にしようと希望に燃えていたが、男ジョージ（声：窪塚洋介）は早々に命を落とし、女ロミ（宮沢りえ）と幼い息子カイン、そしてAIロボットが残された。

ひとり息子のために自分の寿命を引き延ばそうとコールドスリープ（人工冬眠）装置に入ったロミは、機械の故障で13年のつもりが1300年後に目覚め、カインとムーピー（不思議な生命体）の子孫が築いた楽園のようなエデン17の女王となる。目や耳を使わず感覚で動く子孫たちは、素朴で穏和で欲のない民。平和な暮らしが続きやがて老いを感じ始めたロミは、死ぬ前に故郷を一目見たいと願い、少年コム（声：吉田穂乃華）と2人で地球を目指す。彼女の故郷はどんなところで、今はどうなっているのだろうか…？

カラフルで荘厳な銀河の映像だが、キャラクターの絵は温かみがあり親しみやすい。ロミの声は穏やかで母性愛にあふれ、女神に守られているような安心感がある。コムの声には天真爛漫で汚れを知らぬ純粋さがある。エンディングに流れるテーマ曲『永遠の絆』を歌っているのは、イギリスの少年合唱団「リベラ」。まさに天使の歌声で、心が洗われる思いがした。アダムとイブの時代から今に至るまで、人類は様々な罪を犯し、愚かな間違いを繰り返している。それでも人の心のどこかに善は存在し、何度でも立ち上がる強さを持っている…と、信じたい。2023年11月3日、本作と同日公開となる「ゴジラ-1.0」同様、テーマは「生きなさい」ということ。映画は時代や社会を映す鏡と言われるが、ここまで強く励まされなければ生きてゆけないほど、私たちの世界は大変な状況ということか。宇宙を駆け抜け永遠の未来へ命を繋ぐ、壮大なSF冒険ファンタジー。お薦め作品だ。